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サウーヂの東北被災地支援ツアー [Samba演奏]

#横浜のサンバチーム、サウーヂの会報「MNN」向けに原稿を書きましたので、加筆してここに載せさせて頂きます。

被災地の方々を笑顔にしたい、そんな思いを届けるべく東北支援ボランティアツアーを敢行しました。

初日10/22(土)は大崎市 震災復興支援「音楽の聞こえる都市(まち)づくり」コンサートで有備館前ユービック前広場のステージ、そしてスコーレハウスでの岩出山中学吹奏楽部との共演、翌10/23(日)は蔵王町 産業まつりのステージ、そして遠刈田温泉大通りパレードと、この有り得ない強行軍を物ともせず、我らがダンサー陣、バテリア&PA隊、スタッフは獅子奮迅でした。それもこれも、現地スタッフの皆様より手厚いをサポートを頂けたおかげです。

その甲斐あって、老若男女問わず多くの方々に喜んで頂けました。サンバだからこそ出来る役目、それを果たすことが出来たと思います。
皆様本当にありがとうございました。

10/22はステージ等では裏方に回ったりしていたので、済みませんが実際のパフォーマンスについての報告は省かせて頂きます。せめて一枚だけ写真を。
oosaki_01.JPG

10/23の映像:


■事の経緯
現地との直接の打ち合わせはM下さん、バスの手配はマッキーさんに進めて頂きましたので私は最初の橋渡し役に過ぎませんが、簡単に記させて頂きます。

震災直後は「何かしたい」と思いつつも自分には医療技術も重機を動かす資格もなく、何も出来ないことに無力感を感じるばかりでした。
そんな中、5月のゴールデンウィーク間際にネットで見つけたボランティアセンターに登録、宮城県の南三陸町 歌津地区で被災者支援ボランティア(撤去作業、漂着物の回収、写真の洗浄等)に参加させて頂きました。これを機に、歌津には有休や夏期休暇を使って何度か通うことになりました。

全国から集まった皆の意識は高く、よく働き、よく笑います。それを見て、思わず「まるでサウーヂやん!?」と感じました。しかも「うちのお父さん、去年サンバで優勝した!」という学生さんも居て、後で話を聞くと、昨年コミッサォンで参加されたMさんの娘さんでした(!)。何という偶然でしょう。

しかし活気のある現場とはいえ、海辺に目を向けると廃墟が広がり、言葉を失います。

そして夜のテントで、ふと聞こえてきたのは女性の嗚咽...
日中や夕食時は皆明るく振る舞っていたものの、身内や友人に何かあったり、被災地の惨状を目の当たりにしたら平気で居られる訳はありません。ボランティアのテントでさえこうなのに、況や避難所の夜を想うと、胸が締め付けられます。日中は皆、涙を堪えて気丈に過ごしているのか。

ふと頭に浮かんだのは、「ここでサンバが出来ないか?」ということでした。

とはいえ実際のところ、海辺では時々ご遺体(大腿骨や頭蓋骨)があがることもあり、現地の祭りの太鼓さえ叩くのが憚られる状況でした。
歌津ではまだまだ時期尚早かと諦めかけたとき、歌津VCの代表の方が、大崎市からボランティアで来られていたSさんにコンタクトを取って下さいました。

頂いたメールによると、大崎市は福島県・岩手県をふくめて宮城県沿岸部から避難した177名の小中学生が大崎市に一時的に避難して勉強していて、このような生徒たちを勇気づけたいというのが先生方の願いでした。
そして大崎市教育委員会のHさんより、改めて正式にサンバの依頼を受けました。

もはや迷うことはない、サウーヂは必要とされている。

マッキーさんに相談したところ、ちょうどM下さんが宮城県多賀城市に出張中(!)で、大崎市に行って直接打ち合わせをして頂けることになりました。
度重なる偶然… 神懸かり的とでも申しましょうか、まるで何かに導かれるように話が進んでいきました。

ツアー参加者も全て自腹なのでちゃんと集まるか不安でしたが、最終的には貸し切りバスがほぼ満席になり、都合でバスに乗れない方々は自力で現地に集合して下さいました。まったく頭が下がる思いでした。


■被災地でサンバをやるということ

「そんなことをして何になる?」 「ただの自己満足じゃないか」

撤去作業や漂着物の回収等は目に見える成果がありましたが、サンバをやったところで衣食住の何の足しにもなりません。
自分からやろうと言い出しておきながらも、葛藤の中にありました。

そんなとき、石巻市で打ち上げ花火をやる話を耳にしました。
「不謹慎だ」「それどころじゃない」「でも花火が観たい」
賛否両論の中で、打ち上げ花火を決行した方々の想いを自分なりに考えてみました。

助かったものの、言葉で表せない悲惨な光景や沢山のご遺体を目の当たりにした人達。
明日が見えず呆然自失の日々、そして蘇る記憶。
そんな中でも、気丈に振る舞う子供達。
医者もカウンセラーも特効薬を持たない。

しかし花火が打上げられ、弾ける瞬間。恐らく誰しも、その光と音に心を奪われるに違いありません。
どんなに短くても、それは無駄な時間ではないと思います。

サンバは、それに近いひと時を与えることが出来るのではないか。
役に立つ、役に立たないではなく、その瞬間をどう感じてもらえるか。
ほんの一瞬でも目の前の光景と音に心を任せ、あの日の惨状、そして辛い日常を忘れられたら、それで充分ではないか。

サウーヂに出来ることは、やはりサンバしかありません。
自分達が出来ることをやろう。サウーヂらしいパフォーマンスをやろう。
そう思えるようになりました。

現地では沢山の方々に喜んで頂けました。むしろ、その笑顔に私達が力を貰ったと言っても言い過ぎでは無いほどでした。


■果たすべきことがある

TVや新聞、ネットではなく、実際に現地での活動で惨状を目の当たりにして心に湧き上る想いとは。

繁栄は仮初め(かりそめ)で、自然を前にしたとき文明はあまりにも脆いです。
時には残酷な仕打ちを容赦なく浴びせて来ます。

人間は経験したことしか判りません。
それでも、被災された方々のあの日、今まで、そしてこれから、どんな思いで生きているのか、そのことを時々思い出したり、考えたりします。
答えは見つかりません。ただ、当たり前のことなんて無いということ、一瞬一瞬を大事にしなくてはならないということ、先に逝った方々はそのことを私達に考えさせてくれます。

…長くなるのでこの辺にさせて頂きます。

今回の東北支援ツアーはほぼ手探り状態だったかも知れませんが、今後も活動を続けていく上で大事な一歩だったと思います。
これからも被災地のために出来ることを、一個人そしてサウーヂの一人として考え、実行していきたいです。

改めて、今回ご参加ご協力頂いた皆様、本当にありがとうございました。
出来ることは僅かですが、それでも、音楽、ダンス、そして笑顔がもたらす力を信じています。



togatta_01.JPG
22日の晩、遠刈田にて。パゴーヂに興じるサウーヂの面々。

今回のツアーの成功は、イカした仲間達のおかげです。 本当にありがとう。

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コメント 4

moz

ご無沙汰してしまいました。またご訪問いただいたのに、遅れてしまって申し訳ありません。
とても、貴重なことをされていたんですね、有給をとられての支援とか・・・本とうに頭が下がります。
衣食住に関わらないからとか、自粛とか言う方がいらっしゃること、それはその通りなのかもしれませんが、人ってこころもあります。
こころに栄養を与えないと元気が、体を動かす源の元気が出ませんよね。サンバってそういうこころを鼓舞するにはぴったりだと思います。
大変だからこそ、こういうの必要だとじぶんは思います。
とても、素敵なことをされましたよね。
じぶんからもお礼が言いたいです。 ^^
by moz (2011-12-18 10:43) 

nexus_6

mozさん、ありがとうございます。
僅かなことしか出来ませんが、
それが一瞬でも、どなたかの心を豊かに出来るなら、
続けようと思っております。

by nexus_6 (2011-12-18 21:19) 

moz

本年もありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。
良い年をお迎えください。 ^^v
by moz (2011-12-31 10:39) 

nexus_6

mozさん、ありがとうございました。
良いお年を!

by nexus_6 (2011-12-31 19:38) 

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