Siberian Khatru(シベリアン・カートゥル)/ Yes [Progressive Rock]
遅まきながら、ついさっき初めてニコニコ動画というものを見始め、いきなり凄まじい(というか心地よい?)ものを見つけました。
なんと Yes の名盤 Close to the Edge(危機)に収録されている 『Siberian Khatru(シベリアン・カートゥル)』を打ち込み、更に初音ミクに歌わせています!(上記リンク)
勿論、原曲自体が素晴らしく良く出来ているのですが、この打ち込みがまた生っぽくて感動もので、特にスティーブ・ハウのギターがうまく特徴を出せています。声はジョン・アンダーソンの唯一無二の声に似せるとかは意識していないようですが、何故か不自然さも許せてしまうのです。思うに、Yes はバンドアンサンブル主義の権化でボーカルはいわゆる独立したものではなく楽器のパートの一部のようなアレンジなので、今回は初音ミクの声が浮くこともなくうまく馴染んだのかも知れません。
絵も静止画主体でシンプルですが、ジャケット(ロジャー・ディーン)をうまく使っていてセンスが良いです。9分23秒という長さを全く感じさせません。いやぁ、恐れ入りました。
尚、下記がオリジナルです。
Wish you were here(あなたがここにいてほしい) / Pink Floyd [Progressive Rock]
寒い冬の夜に聴くのにふさわしいアルバムです。
ピンクフロイドといえばビルボードのチャートイン最長記録でギネスブックにも載っている化け物アルバム『狂気 (原題:Dark Side of the Moon) 』が有名ですが、個人的には『Wish you were here』 というか収録曲の Shine On You Crazy Diamond (Parts I - IX)の方が好きです。長い曲ではありますが、メロディアスで親しみ易いです。
元メンバーのシド・バレットに捧げられたとも、実はそれだけではないとも諸説ありますが、私はこれを聴くと「ライ麦畑で捕まえて」の主人公、ホールデンを思わずには居られません。原作者サリンジャーは映像化の許可を出さないようですが、もし映像化が可能なら、音楽はこの曲をはじめ、ピンクフロイドしか有り得無いと思います。
初めて聴いたそのとき、夜の闇の中に深々と降り積もる雪と、ロウソクの炎が目に浮かびました。リック・ライトが弾くソリーナ(ストリング・アンサンブル)の冷たい音と Oberheim(オーバーハイム)の柔らかなシンセソロは、まさに雪のイメージなのです。それまで音楽雑誌で Oberheim の音について書かれた記事をいくつも読んで、頭の中で想像していましたが、その音が、まさにこの曲の中で聴ける音だったのです。Moog(モーグ)とも Arp(アープ)とも違う、独特の穏やかな音色が心に染みます。
そしてデイブ・ギルモアが弾くブルージーなギターソロ、3分55秒辺りで聴ける4音フレーズ、これを聴くと凍り付いてしまいそうになります。
嘗てホッピー神山氏がキーボードマガジンに「どう聴いてもただのブルースだが、彼らが演奏するとただの曲ではなくなる」と書いていたと記憶しています。何が違うのか説明出来ませんが、とにかく他の何者とも違うのです。
Close to the Edge (危機) / Yes [Progressive Rock]
'70年代ロックの金字塔ともいうべき一枚で、これも至る所で書かれているのですが、敢えて書きます。
作り込まれた音宇宙、一糸乱れぬ演奏、アートワーク、難解な歌詞、それまで誰も到達し得なかった途方も無く高い領域に Yes が舞い上がった瞬間が凝縮されています。(尚、エディ・オフォードのテープ編集技術による功績も大きく、実際にバンドが通してこの曲を演奏するようになったのはアルバム完成後のようです)
先にも書いたのですが、大学生の頃、友人から片面に「こわれもの」、もう一方に「危機」を入れたカセットテープをもらったのが、Yes との出会いでした。こわれものは、ラウンドアバウトをはじめ、キャッチーで馴染み易い曲が揃っていましたが、「危機」は非常に難解でした。
「何、これ ....? 」
最初は全く訳が分からなかったので、3曲目のノリの良いシベリアン・カートゥルばかり聴いていました。暫くして、ジョン・アンダーソンの歌声がやはり印象深く、何か残るな.... と思いつつ聴き返すようになりました。やがて18分36秒という時間が全く長く感じなくなり、結局CDを購入して一時は朝から晩まで繰り返し聴くようになりました。音のモザイク、或いは万華鏡とでも言いましょうか、初めは掴み辛かったポリリズムも、各メンバーが途方も無く複雑な演奏をしているようで実は一つ一つは非常にシンプルだったりと、自然に頭に入ってくるようになりました。そして '90年に Anderson, Bruford, Wakeman, Howe (Yes の主要メンバーによるバンド) で来日したとき、横浜で生で聴くことが出来ました。
死ぬ間際に聴きたい曲をすぐに選べと言われたら、一も二もなくこれを選ぶ気がします。
ヘルマン・ヘッセの小説「シッダールタ」に影響を受けたその歌詞は難解ですが、そこには宗教をも超越した世界観が存在しているように思えます。中でも最も印象深い一節が下記です。
Seasons will pass you by
and I get up, get down
以前から非常に気に入っており、一時期、会社のメールのシグネチャーに使っていたところ、いろんな人から声をかけてもらえました。それだけ多くの方々に浸透している一節のようです。
年明けにインドに行く(小学校でサンバを演奏)予定ですので、それまでにシッダールタを読んでおこうと思います。
Fragile (こわれもの) / Yes [Progressive Rock]
これについての詳細な記述は無数にあり、改めて挙げることも無いのですが、手始めですので敢えて書きます。
大学でバンドを始めた頃、EL&P や ピンクフロイド、キング・クリムゾン、四人囃子(勿論、復刻CD)を聴き始めていたものの、何故かイエスを聴いていなかった私に、バンド仲間が「こわれもの」と「危機」をカセットテープにダビングして聴かせてくれました。
冒頭の「ラウンドアバウト」で、ガッチリと心を掴まれてしまいました。
ピアノの逆回転再生音からスティーブ・ハウのスパニッシュなガットギターへ、そこへ小気味よく始まるハーモニクスと、リズム隊。ジョン・アンダーソンの少年のような声、一糸乱れぬコーラスワーク。突然切り込んで来るリック・ウェイクマンのオルガンとシンセ。大胆な曲展開でありながら、難解さや長さを全く感じさせず、非常にポップでした。
「もっと早くこれを聴いていれば」と、どれほど思ったことでしょう。
初めは意識していなかったのですが、この曲の最大の特徴はクリス・スクワイアの躍動感のあるベースではないでしょうか。
ラストの「燃える朝焼け(Heart of the Sunrise)」は、非常に緊張感のある曲で、初めて聴いたとき「キング・クリムゾンか?」と思った程でした。ヴィンセント・ギャロの映画「バッファロー'66」で効果的に使用され、多くの方が耳にされたと思います。
ただ、ロンブーの番組でも緊張感のある場面で頻繁に使用されたとのことで、ちょっと困惑しています。
普通にこの曲をかけただけで、若い人たちがロンブーのテーマだと言って喜ぶのを見ると、なんとも.... -_-;