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8/22(土)東急スクウェア青葉台 & 友人の結婚式、8/23(日)第25回 三茶フェスティバル2009 [Samba演奏]

怒濤の二日間でした。羅列になっており済みません。

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8/22(土)東急スクウェア青葉台(横浜市青葉区)のイベントに出演しました。実は横浜のエスコーラ・ヂ・サンバ・サウーヂに依頼が来たのですが、つくばでの営業(私は不参加)が同じ日に予定されていたのに加え浅草サンバカーニバルを控えて最終作業に勤しむこの時期なのでお受け出来ず、「浜松のチームでなんとかならないか?」と打診を受け、浜松のサンバ・エストレーラでお受けすることになりました。

私はこの両方のチームに参加しているため、こういったやり取りを仲介したりすることもあります。もっとも、重なった場合はどちらか一つにしか参加出来ませんが... ^^;

さて受けたものの、こんな遠方にメンバーで出向くのは容易ではありません。朝8時に集合して車2台に乗り合わせて東名高速で向かいましたが事故渋滞につかまり、到着したのは12時半過ぎ(出演時間は13時と15時)という有様で、開始時間を15分遅らせて頂き事無きを得ました。運転手のBさん、本当にお疲れさまでした。
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ステージ(South-1 本館1F アトリウム)はスタバ前のこじんまりした一角で、2本のステージを楽しく行えました。私はCavacoを弾いていましたが、ダンサー紹介のバッカーダの間は休めるので舞台袖から撮りました。

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もう一つの出演団体のサリ・カメールさん。バリ島のガムランとダンスのグループで、お客さんも交えてのダンスもあり、親しみ易いステージングで、私たちも学ぶべきところがありました。楽器は竹で出来ており、涼しくなるような音色が魅力でした。


この日は17時から横浜で、わがバンド Clube da Carne のドラマー、Dくんの結婚式に出席するので、終わったらすぐに電車に飛び乗る必要があったので、あろうことか2本目のステージは礼服に着替えて(!)演奏しました。「サンバ演奏で一人だけ礼服...?」と怪訝そうな目もありましたが、遅刻するよりはマシと割り切り、汗だくになりながら演奏しました。
演奏を終えてメンバーに挨拶して駅へ駆け込むと、今度は電車が遅れており、又しても事故とのこと。TT
予め着替えておいた甲斐もあって、式にはなんとか間に合いました。

今回は列席するだけで演奏予定は無かったので、落ち着いて過ごせました。

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ドラムはプロ級、本当にイカした男です。
披露宴では奥さんとピアノ&Vドラムのセッションを聴かせてくれました。
末永くお幸せに!

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私の同期のI君の奥様が作った、本人そっくりの人形。しっかりパンデイロも持っています。(!)
会場の真ん中に飾られていました。


披露宴の後、桜木町のサウーヂの作業場(浅草の衣装等を制作中)へ向かいましたが、かなり遅くなったので掃除を手伝っただけで閉館時間の22時になってしまいました。私が突然、礼服を着て汗だくで現れたので、皆は何事かと驚いていました。作業場の写真はございません。_o_


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翌 8/23(日)は第25回 三茶フェスティバル2009にサウーヂで出演しました。サウーヂでは基本的にCaixa(カイシャ)を叩いており、浅草でも Caixa で参加予定なのですが、この日は正規Cavaco奏者が欠席のため、私がCavacoを弾きました。本来は衣装も含め浅草を想定したテスト飛行的なことを行うのですが、こういう事情で私だけこの日限りの事をしました。用意したシールドが短かったためPA車の移動に付いて歩くのが大変で些か落ち着きの無い演奏になりましたが、なんとかこなせました。



今度の土曜はいよいよ浅草サンバカーニバルです!
インフルエンザが流行っていますので、どうか皆様お気をつけて。

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Caixaのヘッド&側面のフィルムも新しく張り替え、装備は万全。あとは気力と体力と...

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ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」 [Classic]

今年も8/15が訪れます。

自分が生まれる僅か20数年前に、周辺各国も含め悲惨な戦渦に見舞われていたことを改めて思い知らされます。

その後も世界的には紛争は絶えず、「人類が居る限り、戦争は終わらない」という覚めた意見も聞こえてきます。確かに人と人との争いは終わらないかも知れません。ただ、圧倒的な武力で民間人を巻き込んで殲滅するというような方法は絶対に無くせる筈です。

今年4月、オバマ氏は広島・長崎への原爆投下を指す「核を使用した唯一の保有国としての道義的責任」にふれ、「核のない、平和で安全な世界を米国が追求していくことを明確に宣言する」と述べました。

少しずつでもいい、世界は変わって行ける筈です。

直接関係はございませんが、鎮魂を祈って、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」を。



ピアノバージョン:


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川村カオリさんのこと [Tristeza não tem fim]

7/28(火)、歌手の川村カオリさんが都内病院にて永眠されました。
ご冥福をお祈り申し上げます。

5年前に乳がんのため左乳房を切除、その後もリンパ節等への転移があり、
抗がん剤の副作用に苦しみながらも、つい先日にもライブステージに立たれました。
38歳という若さで、幼い娘さんを残して...   言葉になりません。

嘗てオールナイトニッポンのパーソナリティーとして活躍されていたときの元気な声が、耳に残っています。


今年になって忌野清志郎さん、山田辰夫さん、そして川村カオリさん...
闘病生活をされていた方々が立て続けに亡くなられました。
個人的にも体調がすぐれず気持ちが沈んでおりますが、
やるべきことをやらなくてはと、なんとか持ち直そうと努力しております。


今まで何度か書いていますが、今一度記します。



  退屈な日常を嘆く人が居る。

  でも本当に辛いこととは、そういった日常を失うことなのだ。


  残された者は旅立った人たちの何が判ればよい?

  一生かかっても判らないかも知れないが、ただ、これは確かなこと。

  自分を燃やし尽くさなくてはならない。





病棟の記憶やいろんなことが蘇るので、この辺にさせて頂きます。

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狂い咲きサンダーロード [Movie]

映画『狂い咲きサンダーロード』('80 石井聰亙監督作品 )のジン役で知られる山田辰夫さんが胃がんのため亡くなられました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。



泉谷しげるの「電光石火に銀の靴」とともに、疾走感あふれる映像が魅力の一作でした。

当時の石井監督率いる狂映舎は実際のところアマチュア集団で、撮影はギャラ無しスタント無しアポ無しの、無い無い尽くしのとんでもない現場だったそうです。山田さんは普段は大人しい方(実はバイクの免許すら持っていなかった)なのですが、劇中の凄まじい演技に加えて監督が冗談で言った一言のおかげで「映画通りの怖い人」という噂が広まり、暫くの間、仕事が全く来なかったとこぼされていました。その上、山田さんが主催する劇団に集まって来たのは映画を誤解した不良少年で、明らかに「コイツら、芝居をやりに来たんじゃ無い... 」ってな感じで困惑しまくったとか。

しかし銀幕で暴れまくる彼らは輝いていました。やり場の無い若者の衝動というのは不良少年や暴走族に限らず誰にでもあるもので、その後ロックバンドや演劇・映像制作の分野で活躍することになる少年達も大きな影響を受けたことは想像に難くありません。

映画に主演して以来「ジンさん!」と慕われ続け、彼の中でも大切な作品になっていったことでしょう。



電光石火に銀の靴  作詞・作曲:泉谷しげる

君を君をとじこめる奴の気が知れないぜ
君を君をとじこめる奴は君に気づかない
火の中をかける君こそステキさ
嵐に花を咲かす君がイイ!
電光石火に銀の靴
これが君へのプレゼント
電光石火に銀の靴
これが君へのプレゼント

サイクルの耳かざりと
シルバーのサングラスと
ピンクのシャドウと
ブルーのドレスが君らしい

君を君をとじこめる奴の気が知れないぜ
君を君をとじこめる奴は君に気づかない
イナズマにキスをする君こそステキさ
シャウトの夜をドライブする君がイイ!
電光石火に銀の靴
これが君へのプレゼント
電光石火に銀の靴
これが君へのプレゼント



狂い咲きサンダーロード コレクターズ・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ビデオメーカー
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石井聰亙作品集DVD-BOX 1 ~PUNK YEARS 1976-1983~

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  • 出版社/メーカー: トランスフォーマー
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7/19(日)武蔵新城でパレード&演奏 (新城西口商店街 サンバカーニバル) [Samba演奏]

7/19(日)武蔵新城(川崎市中原区)でSaude(エスコーラ・ジ・サンバ・サウーヂ)がパレード&ステージ演奏しました。
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今年で14回目になるイベントで、毎年呼んで頂いています。商店街をパレードし(約45分 x 2本)、2本目の最後はお祭りの会場に戻るとともにステージ演奏も行い、ダンサーさんは櫓の上で踊るという(^^;)かなり強引なパフォーマンスを行いました。曲は定番の Exaltação à Mangueira と、今年のエンヘード(浅草サンバカーニバルで演奏するサウーヂのテーマ曲)でした。

私は1本目のパレードではバテリア(打楽器隊)でCaixa(カイシャ)を叩き、2本目は参加せずステージで待機し、皆がパレードから戻ってきたら Cavaco(カヴァコ)を弾きました。ので、例によって演奏中の写真はございません。_o_

対バンのジャズバンドの皆さんです。譜面台と譜面止めのクリップをお借りしました。ありがとうございました!
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打ち上げ会場は今年もとりまささんの二階で、例によって皆は歌い踊り狂い、私はパゴーヂマシンと化し、延々Cavacoを弾き続けておりました。

今回の一部がTVのローカルニュースで報じられ、メンバーのご家族がYouTubeにアップして下さいました。ただレコーダーが無く、iPhoneでTV画面を直接撮った(!)とのことですので、画質音質はそれなりですが、雰囲気だけでも伝われば幸いです。


スタッフ、関係者の皆様、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
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花・太陽・雨(再掲) [あの歌が思い出せない]

2006-06-29-2の記事に加筆して再掲させて頂きます。

GS末期にタイガース、スパイダース、テンプターズのメンバーが集まって結成されたPYGのデビュー曲です。時代が時代だけに音質もアレンジも荒さがありますが、メロディも言葉もキャッチー且つ泥くさく、耳に残ります(作詞:岸部修三、作曲:井上尭之)。最近では、難波弘之氏がライブでカヴァーされています。
帰って来たウルトラマン 34話 「許されざるいのち」 で主人公の回想シーンで使われ、小学生の頃にこの再放送を見たときに魂を揺さぶられるような感覚を覚えると共に強烈な印象を刻み付けられました。某雑誌でこれに関するコメントを見つけて曲名を突き止めたものの入手困難でしたが、その後 '90年代にCD再発ブームで入手可能となりました。


ジュリーは幾つになってもカッコイイです。年齢に合った歌い方が出来る人は一生歌えるんでしょうね。

尚、PYGのオリジナル盤(シングルバージョン)は下記でお聴き頂けます(埋め込み禁止でしたのでURLを書いておきます)。こちらも是非お聴き下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=OPREV8Em7PQ

私もこの曲を一度ライブでやったことがあるのですが(風邪でボロボロでしたが TT)、この曲を初めて聴いたときのことを紹介すると 「あぁ、確か郷秀樹の旧友がマッドサイエンティストか何かがだった話でしょう?」 との反応がありました。子供向け番組では有り得ない選曲とヘビーなストーリーも相まって印象深くなったのか、40歳代の方々にはそこそこ知られているエピソードのようです。


帰ってきたウルトラマン ミュージックファイル

帰ってきたウルトラマン ミュージックファイル

  • アーティスト: TVサントラ,PYG,岸部修三,冬木透,すぎやまこういち,東京一,NMW
  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 1999/05/21
  • メディア: CD



ゴールデン☆ベスト PYG BEST

ゴールデン☆ベスト PYG BEST

  • アーティスト: PYG,岸部修三,O.Kishibe,L.Rhee,安井かずみ,萩原健一,井上堯之,大橋一枝
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2004/02/25
  • メディア: CD



PYG!

PYG!

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1994/06/01
  • メディア: CD


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我愛你 / 135 [あの歌が思い出せない]

'80年代の佳曲、「我愛你」(ウォー・アイ・ニー)です。この曲はビクターのロボットコンポのCMで流れ、当時は誰でも一度は耳にされたのではないでしょうか。

135(イチ・サン・ゴ)というグループ名は東経135°、つまり日本を意識したもので楽曲全般も東洋的ですが、尤も中国的な印象も強く、実際に香港での人気が高かったと聞いたことがあります。梶原茂人、高木茂治、本田義博の3人によるコーラスワークは素晴らしく、且つシンセ・オーケストレーションを駆使したアレンジはキャッチーで、一度聴いただけで耳に残る曲も多かったです。にも関わらず、プロモーションがうまくいかなかったのかスマッシュヒットはこのデビュー曲のみでした。その後も活動は続いていますが '03年に高木、本田両氏が脱退し、現在は梶原氏が一人残った形になったようです。

CD再発運動もあるようで、リマスターで聴き直したいと思うこの頃です。


CMではビジュアルも無国籍で、「AKIRA(アキラ)」や「ブレード・ランナー」の影響が伺えます。



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SEASON / フィッシュマンズ [Popular Music]

前回ご紹介した LONG SEASON ですが、余りにも長い曲な上に、ちょっと怖い書き方をしたのでお聴きになれなかった方もいらっしゃったと思います。

そこで、もっと軽やかで明るいバージョンをお送りします。ほぼ同じ曲なのですがアレンジと歌詞の一部が違い、そして時間が6分程度と短く、気軽に聴けますのでどうぞ。



こちらはPV版です。#音量が少し小さいです。



SEASON

SEASON

  • アーティスト: フィッシュマンズ,佐藤伸治
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1996/09/26
  • メディア: CD



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LONG SEASON / フィッシュマンズ (再掲) [Popular Music]


LONG SEASON

LONG SEASON

  • アーティスト: フィッシュマンズ,佐藤伸治
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1996/10/25
  • メディア: CD


#2007-09-28 の記事に加筆して再掲させて頂きます。

夕暮れ時に蘇る記憶...

フィッシュマンズの異色作、LONG SEASON について記します。
約12年前、この曲を聴いた頃は言葉にならないほど辛い時期でしたので、心にも耳にも強く刻まれており、或る意味でそれは今も続いています。

それまではレゲエ、ダブ色の強かったフィッシュマンズでしたが、この LONG SEASON は PinkFloyd の『ECHOES(エコーズ)』や、Yes の『Close to the Edge(危機)』に通ずる、プログレッシブ・ロックとも言える内容で、その長さもさることながら、浮遊感に酔ううちに異世界へ引き込まれてしまう、聴き方によっては恐ろしい曲です。
冒頭では非常に緊張感のあるコードの Am6(9) が使われ、リック・ウェイクマンの手癖のようなピアノのアルペジオ(YAMAHA QY-10による、シファ#ミドで下がるシーケンス)が流れるので、尚のこと Close to the Edge を彷彿させます。
彼らは Yes や PinkFloyd にはあまり興味が無かったと思いますが、にも関わらずこれほどまでに作り込むことが出来たのはエンジニアでありプロデューサーである ZAK氏のサウンドメイキングに依るものが大きい気がします。そしてサポートキーボーディストのHONZIさんはエディ・ジョブソンの如くシンセ(Roland SH-101)、ピアノ、そしてエレクトリック・バイオリンを操り、夕暮れ時を思わせる独特の音世界を作っています。

そして、歌詞です。「半分、夢の中」という一節は RCサクセションの『甲州街道はもう秋なのさ』へのオマージュに他なりません。「夕暮れ時を二人で走ってゆく」、つまり車を転がしている筈が、そのサイドシートの君は既にこの世に居ないような、そんな喪失感に包まれています。そこに漂うのは、この世に取り残されたような言い知れぬ孤独感と、居た筈の君の「死の匂い」なのです。


 口ずさむ歌はなんだい

 思い出すことはなんだい...


ボーカルの佐藤伸治さんのインタビュー記事を読む限りでは、この曲は、ただ只サウンドに身を委ねるのみで特に精神性は込められていない、というような内容でしたので、上記はあくまで私の私感です。

ただその後、'99年3月に佐藤さんは病気のため若くして亡くなってしまいました。新聞でも報じられ、そのあまりにもの突然さに、私は愕然とし、暫く信じられませんでした。ほんの数ヶ月前にライブで見た彼の姿、歌声.... そして'07年9月にはHONZIさんも癌のため他界されました。http://orfeu.blog.so-net.ne.jp/2007-09-29


車の運転中には聴かない方が良いと思います。私はこれを聴くと、病棟の記憶(私が入院していた訳ではありません)が一度に蘇って慟哭するあまり、運転すると事故を起こしかねないので、よほど感覚が鈍ったときしか聴かないようにしています。

気軽に聴くことが出来ない、あまりにも、あまりにも重い曲になってしまいました。

ライブでは1曲で40分を超える演奏になっております。お時間のあるときにゆっくりお聴き頂ければ幸いです。











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黄金の月 / スガシカオ [Popular Music]

6月の夜に想うこと。

ここ10年を振り返ると日本のアーティストでアルバムが出る度に必ずCDを買って聴いたのは、スガシカオくらいでした。洋楽派をも唸らせるのはJazzの影響を受けたコードワーク、独特の黒っぽさやファンク色の濃さだと思いますが、まず何よりも、他の誰も取りあげないような日常を飾らない言葉で描くセンスこそ、スガシカオの最大の魅力ではないでしょうか。

いったいどこが他の人と違うのか。うまく説明出来ませんが敢えて言葉で表すと、彼の歌には偽らざるリアルな痛みがあるからです。

よくある惚れた腫れたという内容のものは殆ど無く、例えば近所付き合いも無く収入源も定かでない謎の一家がある日忽然と姿を消す「正義の味方」、海水浴に訪れた海辺ですぐに見えなくなった不審船や自殺志願者を歌った「うきぶくろをもって」、雨の結婚式の帰り道に旧友らと中華屋へ入り、どうでも良い言葉をつないでもどかしい時間過ごす「ぬれた靴」etc... 誰も歌にしないような、どうにもならないリアルな日常を端的な言葉で切り抜いています。

誰も知らない、救われざる者の心の内を描く内容が多いと思います。

そんな中で一番印象深いのはこの一節です。


  僕の情熱はいまや流したはずの涙より

  冷たくなってしまった

  どんな人よりもうまく自分のことを偽れる

  力を持ってしまった

                 (「黄金の月」より )
  

大人になるにつれ、張り裂けそうな思いでいても何事も無いような顔をして過ごせるようになってしまった。そんな自分でも、月も見えない6月の空を見上げて想うこととは...






最近「1Q84」(未読)を発表した村上春樹氏ですが、エッセイ「意味がなければスイングはない」の中で、クラシックやジャズに混じってスガシカオの歌詞や楽曲について高く評価していて、ちょっと驚きました。
「ノルウェイの森」等、村上氏の小説はあまり好きではないのですが、このエッセイではさすが作家だなぁという言い回しで解説しており、なかなか面白かったです。音楽を文章で表すというのは非常に難しく、時にはもどかしくなりますが、ここでの説得力のある的確な表現には脱帽させられます。


意味がなければスイングはない (文春文庫)

意味がなければスイングはない (文春文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/12/04
  • メディア: 文庫



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